こんにちは、
浜松駅前予備校(ハマヨビ)の平井です。
何気なく手に取ったのですが・・・
すべての受験生、
すべての受験に携わる人の
見え方を変えてしまうかも?!と
衝撃を受けた1冊をご紹介します。
あららぎ菜名 著
『東京藝大ものがたり』
あららぎさんが、
東京藝大に合格するまでの日々が
克明に記されている。
藝大の受験生がこんな日々を送っていたのか・・・
と、驚愕な事実ばかり。
芸術系や音楽系の大学志望の生徒は
これまで何人か出会ってきたし、
実技のレッスンの話を聞いたりはしていたけれど、
私は全然知らなかったなと思う。
特に、2浪目~3浪目の
「落ちるの怖い」
「でも藝大に行きたい」
という葛藤がたまらなくしびれる。
エッセイマンガなのでさらっと読むつもりが、
アートとはなんぞや、
ということまで考えさせられる。
陶芸家でもあり、
東京藝大のOBでもある、
あららぎさんのお父さんの
「ひとこと」「ひとこと」が重いのだ。
石膏像のデッサンを見てもらうと、
「光感じねぇんだよな」
とか、
「良い絵を描けば藝大に入れるよ」
とか、
感覚的なことしか言わないんだけれど、
そんなこと考えてもみなかった。。。
という世界があふれている。
モチーフをとことん知ること、
対象を知ることっていうのは
本質に迫るということで、
どんな世界を極めるうえでも前提の考えなんだなぁと。
陶芸家のお父さんが、
どうしても線でデッサンを描いてしまうあららぎさんに、
「お前が線だと思っているのは線じゃない」
「”面と面のぶつかり”なの」
と説くシーンがある。
「3次元の世界に線は存在していなくて、
面に光があたるから影が落ちる、
だから我々は”かたち”が把握できるんだ」
ということをおっしゃる。
そんなことはあららぎさんも
頭では理解しているんだろうけれど。
しばらくたって、
たまたま朝早く目が覚めたあららぎさんが、
「朝日を浴びた石膏像は美しかった」
と、自然光の美しさに目覚める瞬間の
晴れがましさと言ったら。
読みながら乗り移る。
こんな風に才能に努力を重ねていくのかという
リアリティに。
3浪目の受験直前に達する境地が
これまた圧巻。
受験勉強をスタートする人に
ぜひ見てほしい。
受験って、
こんなにも人を成長させるんだということ。
「かわいそう」
とか
「しんどい」
というリアリティはこれでもかと書かれている。
でも、その先にあるものも
ちゃんと見せてくれる、
前に進みたくなる1冊です。