こんにちは、
浜松駅前予備校(ハマヨビ)の平井です。
本日は本の紹介を。
受験生や
その親御さんにおススメの1冊です。
東畑開人 著
『心はどこへ消えた?』
定期購読しているマンガ雑誌に、
『居るのはつらいよ』
という連載がある。
沖縄の精神科デイケアを舞台にした、
心理士の葛藤や機微がものすご~くつまっていて、
へぇ~!
ほぉ~!
人ってすごいなぁ、
おもしろいなぁと、毎度楽しみ。
いい話ばっかじゃないとこもいい。
新聞の書評などで
原作と言ったらいいのだろうか?
監修?をされている
臨床心理士・公認心理士 東畑開人さんの本が
立て続けに紹介されていて
学術書としても読み物としても、
今、熱い人なんだと知った。
この間寄った図書館で、
東畑さんの週刊文春での連載をまとめた
『心はどこへ消えた?』
を見つけたので借りてみた。
ちょうどコロナ禍で書いたエッセイで、
大学教員としてのオンライン授業期間を経て
たどり着く境地も興味深い。
へぇ、
人って人と「場」を共有すると、
こんなことができるんだぁ・・・
と、なかなかの感動。
そしてそして、
生きてると、
学んでると、
人と関わってると、
呪いが解ける瞬間ってあるよなぁ・・・
と思わず3回くらい読み返してしまったのが、
東畑さんの中学受験のエピソード。
当時、東畑さんのお母さんが
第一志望合格を目指して
本人以上に必死に勉強していたそうな。
麻布中学の過去問を繰り返し解くあまり、
神様が降臨。
試験前日の夜、
「明日は漁業が出るぞ!」
と、参考書の漁業のページを開いて
指示を出したんだとか。
そんなことある?!
入試本番、
出ちゃうんですよ、漁業が。
しかもお母さんが指示したページに載っていた図が
そのまま出題されちゃうんですよ。
で、
東畑少年は
「出ない」と踏んでやらなかったんだよなぁ。
見事に不合格。
漁業が出たんだから、
合格間違いなしと思って
祝勝会の準備までしていたお母さんは
「やらなかった」
というまさかの一言に絶句。
お通夜のような晩餐で
冷え切った、
みじめなローストビーフを食べながら泣く
東畑少年。
のちに大学院の飲み会でこの話を聞いた教授が、
「漁業をやらなかったのが素晴らしい、
と僕は思うな。
そこで勉強してたら、
お前の人生は母ちゃんのものになってたんと違うかな」
と言ったそうな。
受験に限らず、
誰かが親切に言ってくれるアドバイスを
言われたとおりにやれば
目の前のことはうまくいくかもしれない。
でも、やるかどうかは自分で決める。
「その結果を自分の歴史として
引き受けることができたとき、
心は少し大人になる」
と書いていて、
あぁ、その親子の葛藤、
とくに受験期の葛藤、
すごくわかるわぁ・・・。
そうやって受験期の葛藤を乗り越えて
大人になっていく生徒は多いわぁ
と感銘。
ちなみにその教授、
「ローストビーフは元から冷たい食べ物やった気がするな」
とも言ったそうな。
鋭い。
さすがは教授。
受験期の親子関係って、
こういうドラマが満載。
受験を通して生きる力をつけていくんだなと、
毎年毎年、
しみじみすることばかりです。